すぐに電話をかけてくるのやめてほしいけど、これがグローバル社会での働き方なのかもしれない

聞くところによると、シンガポールは世界でも一位二位を誇るデジタル化が進んだ国、ということらしい。 確かに様々なサービスがウェブ上で申請できるし、人々は個人のwhatsappアカウントで仕事をする。 病院の予約や企業の営業の人等はビジネス向けのwhatsappアカウントで連絡できたりする。 そういえば隔離期間中の連絡や位置の共有もwhatsappだった。 銀行各々がQR決済アプリを出してるし、個々人の送金も相手の電話番号さえわかればアプリやWebでシュッっと完了する。

その一方で、あらゆる人間が電話で連絡しようとしてくる。 銀行の人はwhatsappでメッセージを送るとなぜか電話してくるし、 家探しのエージェントもすぐ電話してくるし、 美容院でwebサイトのメール予約フォームから予約すると電話してくるし、 病院は会計の準備が終わると電話してくる。目の前にいるんですけど。

喉が痛いから、というのもあるけど、電話はログに残らないし、コンテキストスイッチを強制してくるし、そもそも英語が聞きとれないので困る。 電話以外での非同期な手段で連絡をくれ、というきもちを込めて電話を取らないでいたら諸々の処理がストップしてしまったので、 電話が来たら毎回しぶしぶ取るようにしている。

これではデジタル化もなにもないだろう、rebuildの宮川さんだって電話とってないぞ、ともやもやしていたのだけれど、 最近以下のpodcastを聴いて、腑に落ちた。ここの人達は働き方が違うんだ。

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podcastの内容は、タンザニアの商人は他人とのネットワークの中に生きていて、今のビジネスがだめになっても、それまでに色んな人と関係をもって貸し借りを作っておき、困った時には貸した相手に頼る、そしてまた起業する、というサイクルの中に生きている、というもの。 そんな社会においてはフットワークがめちゃくちゃに軽くないといけなくて、即断即決を是とする。 即断即決しないといけないのに非同期な連絡手段で返事を待つ、なんてことはやってられないのだ。 まず電話、了解を得たら行動し、後で必要とあらばメッセージを送る。

日本のどっしりとした仕事も安心感はあるけれど、スピードでは全く敵わない。 日本で1週間かかるところをここでは電話1本で完了する。 少々のミスは許容して、ミスしたら即修正する。 この働き方には未だになじめていないのだけれど、これが物事がすさまじいスピードで変容していくグローバル社会においてあたりまえの働き方なのではないか、と思うようになった。 そんな当然のことを言われても…と思いもするだろうけれど、実際にそんな人達と関わってみると、その異質性のために大変な息苦しく感じる。

もう少しゆっくり生きたいのだが。